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negative space
2012/02/28
美術・造形デザイン科
美術を学んでいると
「ポジティブスペース」「ネガティブスペース」
という言葉を耳にすることが多くあります。
大雑把に言うと、例えば絵などの場合、
対象となる人物や物そのものの形がポジティブ(正)、
その周りの空間がネガティブ(負)として捉えられます。
皆さんが絵を描き始めたばかりだとすると、
たいていの人はこのポジティブスペースの形ばかりにとらわれ、
ネガティブスペースの存在は忘れがちです
ですが、ポジティブスペースとネガティブスペースは常に同時にそこに存在し、
ネガティブスペースがなければ、ポジティブスペースも存在しないことになります。
モノクロ写真の「白と黒のどちらが大事か」、なんて決められないように、
関係はイコールです。 同じだけ大切です。
以前、「人生はデッサン、デッサンは人生のようなもの」ということを書きましたが、
このネガ・ポジも自分の身の回りに置き換えて考えることができます。
自分自身をポジティブスペースだとすれば、
周囲の人や、取り巻く環境すべてはネガティブスペース。
自分が動けば周りの形が変わり、周りが動けば自分の形が変わるはずです。
自分の周りの形に常に気を配らなければ、自分自身の形はどんどん崩れていきます。
反対に周りの形を大事にすることができれば、
自分の形はどんどん理想的なものになっていくでしょう。
アメリカの大学の卒業式でスピーチをした教授は、
これから社会に旅立っていく学生達に向かって最後にこう叫びました。
Don’t forget the negative space
(ネガティブスペースを忘れるな!)
今でもずっと心に残っています
okamoto